私は白血病で2018年にドナーさんによる「造血幹細胞移植」をしました。
それは自分の骨髄の働きを致死量レベルの抗癌剤で「0」にして、新たなドナーさんの造血幹細胞を移植するという治療です。
この「致死量レベル」というのは文字通り致死量に値する大量の抗癌剤を体に取り入れます。
「そんなことしたらホントに〇んでしまうのでは?」
そうです。
一歩間違えれば天に召される超ハイリスクな治療です。
でも、残念ながらこの超ハイリスクな治療をしなかったら、私の場合はどのみち白血病細胞が体中にまわってアウトになる結果でした。
また「造血幹細胞移植」に踏み切るまでに治療から背を向け逃げたのも事実です。
そして、その後なんとか超ハイリスクな「造血幹細胞移植」を受ける気持ちになり、2018年11月に一か八かの気持ちで移植に向かいました。
スポンサーリンク
前処置で好中球0にする
その致死量レベルの抗癌剤を体に入れる事を「前処置」といいます。
この前処置を行う目的は「体に残存する白血病細胞をできるだけ消去&自分の骨髄の働きを消去」することです。
前処置までに抗癌剤治療を4クール行い、既に骨髄中の白血病細胞(がん細胞)は私の場合なくなっていました。
だけど、顕微鏡でみてもわからないほどの「ごく微量の白血病細胞」が体内に存在しているのでそれを極限まで消去し、健康なドナーさんの細胞を移植し代わりに闘ってもらいましょうということです。
その為に前処置を行い「好中球0の世界」を2週間ほど嫌でも体験することになります。
「好中球0(白血球0)」というのは自分の身体の中に「細菌やウィルスと闘う免疫が0」ということです。
まさにその「0」の状態で菌やウィルスに感染すると、闘う術がないので非常に危険な状態になります。
健康な方は風邪などのウィルスが体に入ると「免疫機能」が働きますよね。
その免疫機能が「0」なのです。
ここでは前処置における好中球の値「0」を強調していますが、通常の抗癌剤治療でも好中球(白血球)は低下します。
抗癌剤治療の後は骨髄抑制が起こり白血球(好中球)の値がどんどん下がります。
抗癌剤治療をした患者さんは免疫が低いと言われますが、好中球500~1000個くらいの状態のことを指すと思います。
この好中球が低い状態を放置しておくのかと言うとそうではありません。
下がりきる前に「G-CSF製剤」を注射して、一日も早く白血球(好中球)の値を上げる処置をします。
「G-CSF製剤」というのは病院によって名前が違いますが、私が3つの病院で実際に注射したのはフィルグラスチム・グラン・ノイトロジンです。
移植の前処置の話に戻ります...
「生着」は好中球500が3日
上記の通り好中球数が1マイクロリットル当たり500個未満は危険な状態なので、前処置をして移植した後は「G-CSF製剤」の点滴を続けます。
通常の抗癌剤治療の時も私の場合は好中球が100未満になる事が多く、その間は無菌室で過ごしました。
無菌室とは菌やウィルスが浮遊しないように常にクリーンな状態を保っている部屋です。
私の場合は移植日から約2週間でドナーさんの細胞が生着しました。
これは空っぽになった私の骨髄の中にドナーさんの造血パワーを入れて、根付くまでに約2週間かかるということです。
好中球500が3日連続で続くと「生着」と判断され、めでたく無菌室から出てもいい状態になります。
ただし、好中球500はまだまだ感染リスクの高い状態です。
「0」よりはかなりマシな数字になっただけの話です。
他の患者さんから隔離された無菌室を図に表すとこんな感じです👇
無菌室は常にクリーンな空気が24時間流れています。
実際には洗面などの水回りもあるし「菌=0」ではありません。
油断するとすぐに何らかの菌に感染し致命傷になる可能性もあります。
また、窓があったのでマシでしたが「前処置」から生着するまでを、一歩もここから脱出することは許されません。
秘密の抜け道とかもないのでずーっと引きこもりです(笑)
これ、結構しんどいですよ。
部屋から一歩も出てはいけない、食事もシャワーもお手洗いも個室で完結する24時間生活(^^;)
またの名は独房といっても過言ではありません。
スポンサーリンク
無菌室と比べると普通の生活は極上
だから今、コロナで自粛とか言われてるけどこの「無菌室生活」から比べると、家の中も自由に行き来できるし買い物はOKだし、最近は外食にも行ってます。
正直、何が不自由?と「無菌室生活」と比べると思ってしまう(^^;)
だけど、常にそこと比べなきゃいけない考えで覆われているのもしんどい。
「一か八かの移植」を受けた身体の状態は、この先も「再発」「GVHD」など様々な不安材料に包まれています。
致死量レベルの抗癌剤の前処置は言葉を変えれば「それぐらい強い抗癌剤じゃないとドナーさんの力を借りても、白血病細胞に負けてしまう」ということです。
現在の私の身体の中は「私自身の白血病細胞とドナーさんのパワー」がせめぎあっている感じです。
私の白血病細胞が強すぎると「再発」という一番最悪なケースになります。
また、ドナーさんのパワーが強すぎても「GVHD(移植片対宿主病)」といって、私の身体の細胞をドナーさんの細胞が私の臓器を攻撃して、最悪の場合は臓器不全などになります。
だから、今の状態は均衡がとれていて「奇跡に近い」のです。
「再発」も「重篤なGVHDもない」状態
私は治療から背を向けた時、そんな一か八か勝負の治療なんて到底受け入れられないと思いました。
ただでさえ長期入院で家族に迷惑をかけ、更に移植で身体が不自由になったら迷惑どころか荷物になると思っていました。
だから逃げました。
治療をしない選択をしました。
家に帰りました。
また家でお母さんの仕事がしたいと思いました。
でも、毎日恐々生きていました。
夜は恐怖で眠れませんでした。
子供達の未来をもう少し見たかったと後悔しました。
何度もごめんねと言いました。
実は夜中に自〇も試みました。(怖くて無理でした)
生きる事も〇ぬこともできないんだと自分で自分を責めました。
でも今は多くの奇跡に恵まれて生きています。
退院して2年以上経ち「普通の極上の生活」が溢れています。
もう家に帰る保証もないと挑んだ「移植」の為の入院で「玄関のドア」を閉める時にいたたまれない気持ちになりました。
でも移植を終えてまた玄関のドアを開ける事ができた時の喜びを忘れないように記事に残しています。
たぶんどこかで「生かしてもらってる罪悪感」があるんだと思います。
実際にドナーさんの細胞で命を助けてもらっているし、入院していた病院で自分の意思で生きたくても残念ながら助からなかった闘病仲間もいます。
またTwitterやブログでも「悲しいお知らせ」「再入院」した方など目にします。
「次は自分なの?」と考えることもあります。
だから、毎日の生活を楽しくする事や美味しい物を食べにいく目標くらいで、長期の目標は取り入れない事にしています。
長期の目標を立てずに短期目標を重ねたら実質長期でした…みたいな。
だから高望みの目標は立てず今のままゆらりと「人生の最終ステージ」を楽しみたいです。
スポンサーリンク
「人生の最終ステージを楽しく生きる」
この「人生の最終ステージ」という言葉は先日の通院日に闘病仲間の一人が発した言葉です。
でもいい言葉だと思いませんか?
私はこれを聞いてからこの言葉が今の自分にピッタリすぎてなるほどなぁと感心していました。
だけど、この言葉を発した闘病仲間は先日ラインでお話した時に「そんなこと言ったっけ?」とスッカリ忘れていました(笑)
やりたい事は今のうちにすぐに行動に移さないと!!
今やっておかないと「いつできるかわからない」ですからねp(^-^)q
まさに置かれている状況は「人生の最終ステージ」なのだから。
そんな闘病仲間は入院中からアメブロでブログをされています。
退院してからその事実を知ったのですが、私からすれば先に闘病ブログを始めたブログの先輩です(*´з`)
先日、ブログを拝見していたら上記の記事で私のブログが紹介されていました(゚Д゚;)
リアルとブログで繋がるってちょっと恥ずかしい感じ(^^;
プロフィール通り明るく可愛いメイメイさんです。
そして「女子力が高い♡」
私と5歳くらいの年齢差ですが入院中に着てるもの(パジャマ含め)持っている物の、全てが可愛かった(*^^*)
メイメイさんは移植後に非常に危険な状態になりました。
それを乗り越えてこうして診察日に一緒に笑って過ごせることも奇跡なのです。
最後に
無菌室で過ごした時からすれば今の生活は極上です。
そして何もかもが奇跡です。
それなのにこの状態に慣れると不平不満が出てしまう。
人間ってホントに欲深い生き物。
でもその欲深さが生きている証拠。
~やりたい事は今のうちに~
それをモットーに今を楽しみたいと思います(*^^*)
ブログ村の白血病ランキングに参加しています。
ウサギのバナーをクリック頂けると嬉しいです👇